当院について
高度・急性期医療
医療機関の機能や行われる医療は「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」等に分類されます。
「急性期」とは、病気やケガをして間もない時期や、病状が安定せず集中的な医療介入を要する時期のことで、状態の早期安定化に向けて行う医療を「急性期医療」といい、その中でも診療密度が特に高い医療(「救命救急」「集中治療」など)のことを「高度急性期医療」といいます。
当院は、救急や紹介の患者さんを中心とした「高度急性期」「急性期」医療を担う病院です。
急性期の患者さんは状態が刻々と変化するため、的確な状況判断や迅速な対応が必要になります。また、多くの急病の患者さんに対応する必要があるため、急性期を過ぎて状態が安定した患者さんは、「回復期」や「慢性期」の機能を担う医療機関や「在宅医療」へ引き継いでいきます。
高度医療機器のご紹介
当院は、高度急性期病院として地域住民の皆さまへより良い医療サービスをご提供できるよう、医療技術の向上や知識習得を常に図っています。また、様々な高度医療機器を導入し、これらを活かした精度が高く、患者さんの負担が少ない検査や処置などにより、良質で高度な医療を提供してまいります。
手術支援ロボット「hinotori」
高磁場MRI
MRIとはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像装置)の略で、強力な磁力を利用した画像を撮影する装置です。
大きなドーナツ型のトンネルが巨大な磁石で、そこで磁場が作られます。磁場のある空間に人が入り電磁波を当てると体内の水素原子が移動(共鳴)し、電磁波を止めると水素原子が元に戻ろうとします。組織(水・脂肪・骨・癌など)によって元に戻る速さに違いがあるため、その速度差をコンピューターが読み取り画像化しています。
当院では、2023年1月に3T(テスラ=磁場強度の単位)の最新型MRIを導入(増設)し、従来の1.5T(テスラ)の機器ではできなかった様々な撮影ができるようになりました。
機器の特徴
- 高磁場化と人工知能による画質の向上
高磁場化により、高精細で高コントラストの画像を、人工知能技術によりノイズの少ない画像を撮影することができるようになりました。 - 血管病変の描出能の向上
動脈や四肢抹消の血管の描出能力が大幅に向上し、CTでは評価が難しかった病変も造影剤を使用せずに描出可能になりました。 - DWIBS(ドゥイブス)
正常な細胞は細胞間の水分子の拡散制限が少ないのに対し、悪性腫瘍などは水分子の拡散が制限されることが、画像上に濃淡の違いとして表示されます。病変の検出力が高いことが大きな特徴です。また、薬剤投与や放射線被ばくなしで検査ができるため、負担が少ないことも特徴です。 - 4D-flow MRI
動脈瘤内や血管凶作部位の血流の解析、動脈瘤壁や血管壁のせん断応力(WSS:物体を挟み切るような作用を与えることにより物体の断面に生じる力)等の評価が可能になりました。これらは、脳梗塞発生や動脈瘤破裂の予測に寄与するとされています。
320列CT
CTとはComputed Tomography(コンピュータ断層撮影)の略で、身体に放射線(エックス線)を照射し、通過したエックス線の量をデータとして集め、得られたデータをコンピュータで計算して身体の断面画像にする装置です。CTの列数は、一度の照射で取得できる画像の枚数を表しており、列数が多いほど短時間で広範囲を撮影することできます。
当院では、2023年2月に最新世代の320列CTを導入(更新)し、従来の機器よりも低被ばくでより詳細な診断ができるようになりました。
機器の特徴
- 人工知能による画質の向上
人工知能技術により、従来のCTでは認識できなかったステント(血管を広げる網状の金属のチューブ)の細かい骨格や抹消の細かい血管などの描出、より高画質での撮影ができるようになりました。 - スペクトラルイメージ
スペクトラルイメージの活用により、造影剤と体内の血管壁の石灰化を区別することが可能になります。また、撮影画像から造影剤投与前の画像を仮想的に作ることも可能です。
3Dシステム(トモシンセシス)マンモグラフィ
マンモグラフィとは、乳房専用のX線撮影装置のことです。 厚みのある乳房は、通常のレントゲン検査では異常が発見しにくいため、乳房を圧迫板で挟んで薄く拡げることで、病変が鮮明に写し出せるようになるだけでなく、被ばく線量を少なくすることができるようになります。
当院では、2022年5月に3D(トモシンセシス)マンモグラフィを導入しました。
従来のマンモグラフィ(1枚の画像)では乳腺に埋もれてしまい、乳腺量によっては「しこり」の形状が分かりにくい場合がありましたが、トモシンセシスでは、乳房を複数方向から撮影して、薄くスライスした断面画像に分けて見るため、奥まった「しこり」の形状を鮮明に見ることができます。
リニアック
リニアックとは、高エネルギーのX線や電子線を発生させ、体外から皮膚を通して放射線を照射し、主にがんなどに対する外部放射線治療を行う装置です。
照射では、IGRT(画像誘導放射線治療)により治療計画通りの正確な位置照合を行っており、骨転移、脳転移などに対するSRT(定位放射線治療)やIMRT(強度変調放射線治療)も行っています。左乳癌術後照射で問題となる心臓への照射を避けるため、DIBH(深吸気息止め照射)を開始しました。
用語解説
- IGRT(画像誘導放射線治療)
患者さんの画像情報(CT画像等)を利用してがん細胞の位置を確認し、照射の位置補正をしながら、高精度でがん細胞に放射線を照射する治療法 - SRT(定位放射線治療)
がん細胞に対してあらゆる方向から放射線を照射することにより、線量を集中させる治療法 - IMRT(強度変調放射線治療)
放射線の強度を変化させ、がん細胞に対してはより均一な照射を行い、周辺の正常組織に対しては余分な被ばくを低減させる治療法 - DIBH(深吸気息止め照射)
左乳がん放射線治療を行う際に、患者さんに息を大きく吸ってもらうことで物理的に乳房と心臓の距離を離して照射を行う治療法