大動脈弁閉鎖不全症 TREATMENT03_02
特徴・症状
心臓の出口にある大動脈弁が変形して閉まらなくなっており、体に送り出す血液が心臓に逆流しているため、心臓がどんどん拡大して心臓が機能不全に陥っています。このまま放置すれば、心不全により日常生活は不可能な状態になり、不整脈などで命を落とす可能性があります。この状態の治療法は手術しかありません。
大動脈弁閉鎖不全症
正常の大動脈
治療方法
治療は大動脈弁を形成(自己心膜)または人工弁を入れる手術です。人工弁には機械弁と生体弁があります。機械弁は耐久性に優れますが、血栓防止に抗凝固剤を飲む必要があり、食べ物が制限されます(納豆など)。弁形成や生体弁であれば、制限はありません。
大動脈弁置換術(機械弁)
大動脈弁置換術(生体弁)
自己心膜による大動脈弁形成術
大動脈弁尖形成手術
心臓の出口にある逆流を防ぐための弁(大動脈弁)が年齢とともに硬くなり、開かなくなる病気(狭窄症)に対して、いままでは人工弁を入れる治療しかありませんでした。
しかし、心臓の出口がもともと狭い方(小柄な女性など)では、16㎜径の最も小さい金属の弁(機械弁)がかろうじて入るかどうかという方も多くいます。機械弁の場合、血液を固まらなくするワーファリンという薬を一生飲み続けなければなりません。また、人工弁はステントという外枠の中に膜がありますので、外枠の分だけ心臓の出口が狭くなり、手術しても狭い状態があまり良くならないこともあります。
自己心膜による弁尖形成術は、大動脈弁狭窄症と閉鎖不全症に対する手術です。自分の心臓を包んでいる膜で作った弁を縫い付けて治す新しい手術です。人工物を使わないため、心臓の出口は最も広くすることが可能です。また、手術のあとに血液を固まらなくする薬は必要なく、そのための食事の制限もありません。