診療科のご案内
センター診療機能
乳腺センター
乳腺センター長兼乳腺外科部長
米山 公康
乳がんの患者数は増加傾向にあり、その治療は多岐にわたり、かつ複雑になってきています。
当院の乳がん治療は乳腺外科が中心となり、チーム医療で行っています。チームの専門各科を有機的に統合し、乳がんに対する治療効果を最大限に発揮するため、2015年に乳腺センターを立ち上げ、現在まで治療に邁進してきました。
このたび、特に放射線治療科、放射線診断科の機能を強化、充実させ、センター機能をリニューアルしました。
今後も患者さんの”そばに寄り添い、ともに闘う”医療を心がけていきます。
乳腺センターのトピック
●乳がんに対するラジオ波焼灼療法について
早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法(Radiofrequency Ablation Therapy :RFA)は、2013年に先進医療制度として承認され、全国の多数の施設が協力して開始されました(RAFAELO試験)。この試験により、通常の手術と比べても治療効果が遜色ないと認められ、2023年に保険承認されました。
当院でも2024年10月に原明日香医師が日本乳癌学会のラジオ波焼灼療法施行術者に認定され、ラジオ波焼灼療法実施承認施設となりました。
●ラジオ波焼灼療法とは
ラジオ波焼灼療法とは、専用の電極針を腫瘍に刺して通電し、針の先端周囲の温度を上げることでがん細胞を死滅させる治療法です。がん細胞は、ある一定の温度以上に熱すると死滅することが知られています。ラジオ波焼灼療法は、全身麻酔下に行いますが、切除手術と異なり、乳房に針を刺すだけで治療が終結しますので、乳房を大きく切ることなく治療を終了することが可能です。
●一連のラジオ波焼灼療法の流れ
早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法は、通常の乳房切除をする手術と同様に手術室において全身麻酔下に行います。まず、通常の手術と同様に、わきのリンパ節に対してセンチネルリンパ節生検を行い、センチネルリンパ節に病理検査でがん細胞が認められた場合には、引き続いて腋窩リンパ節郭清を行うこともあります。
次に、超音波検査機で確認しながら、ラジオ波焼灼療法用の針を腫瘍の中心部まで進めていきます。針は腫瘍の真上ではなく、やや離れた位置から刺していきます。針がきちんと腫瘍に刺さっていることを確認してから、熱を加えていきます。がん細胞が壊死するとされる70℃以上まで温度が上昇したことを確認して、針を抜きます。通常、熱を加えるのは30分以内です。手術中と手術後は、乳房の皮膚の熱傷(やけど)を防ぐために、ビニール袋に氷水を入れたもので皮膚を覆います。また、腫瘍と大胸筋、あるいは腫瘍と皮膚との距離が近い場合には熱傷を防ぐために、これらの間に5%ブドウ糖液を注入します。
●ラジオ波焼灼療法後の治療の流れ
治療後には、温存した乳房に放射線治療を行います。また、その後にラジオ波焼灼療法と放射線治療でがん細胞が死滅したかを確認するために、放射線治療終了後3ヶ月を⽬途に、①造影MRI 検査と超⾳波検査、②焼灼部およびその周辺より(吸引式)針⽣検を⽤いて検体採取を実施します。病理診断の結果等でがんの遺残がある場合には、外科的切除を実施します。
●乳がんラジオ波焼灼療法適正使用指針(日本乳癌学会)
※患者選択基準 適格基準
・針生検で組織学的に通常型の原発性乳管癌であることが証明されていること。
・腫瘍の大きさが、造影MRI検査、超音波検査を含む術前画像検査すべてにおいて長径1.5cm以下の単発限局病変であること。
・癌の皮膚浸潤や皮膚所見(Delle)が認められないこと。
・今回の乳癌に対する前治療(化学療法・ホルモン療法・放射線治療など)の既往がないこと。
・年齢が20歳以上の女性である。
・術後放射線治療が可能なこと。
・手術、全身麻酔に耐えうる臓器機能を有すること。
・術前診断にて腋窩リンパ節転移がないこと。
※適応除外基準
・妊娠中、もしくは妊娠している可能性がある症例。
・心臓ペースメーカーまたは植え込み型除細動器を留置している症例。
・局所の活動性の炎症や感染を合併している症例。
・重篤な心疾患、脳疾患を有意している症例。
・人工骨等のインプラントにより、対極板を貼付できず、RFAが適切でない症例。
・抗血小板療法、抗凝固療法等、止血困難が予想される症例。
・画像上広範囲の乳管内病変の存在や多発病変の存在が疑われる症例。
・マンモグラフィ(MMG)で広範な石灰化を認める症例。
・温存乳房内再発を含む異時性の同側乳癌症例。
・他臓器転移を認める症例。
●ラジオ波焼灼療法の副作用・合併症について
わが国で過去にラジオ波焼灼療法が行われた患者さんの報告では、重症皮膚熱傷が1人(1.9%)に認められました。この場合には、外科的治療が必要になることもあります。この他、出血(0.1%)、不整脈(0.1%未満)、気胸(0.1%)、血胸(0.1%)、腫瘍播種(0.1%)、膿瘍形成、創感染、持続する痛み、発熱、嘔気・嘔吐、乳頭の陥没などが報告されています。
また、ラジオ波焼灼療法後の部位はしこりとして残ることが多いです。
●ラジオ波焼灼療法実施についての注意点
・ラジオ波焼灼療法中に焼灼が不完全であると判断された場合には切除手術に変更となる可能性があります。
・ラジオ波焼灼療法後の針生検でがん細胞の遺残が確認された場合には、切除手術が必要となることがあります。
・ラジオ波焼灼療法後の部位は比較的大きなしこりとして残ります。
●ご自身がラジオ波焼灼療法を受けられるか知りたいと思われた患者さんへ
ご自身がラジオ波焼灼療法の適応になるのか知りたい、ラジオ波焼灼療法についてお聞きになりたい方は当院乳腺外科セカンドピニオン外来を受診してください。
関連部署
乳腺外科
形成外科
放射線治療科
常勤の放射線治療専門医3名(内1名は女性医師)、非常勤の放射線治療専門医1名、品質管理士2名、放射線治療専任技師3名で治療にあたっています。
照射では、IGRT(画像誘導放射線治療)により治療計画通りの正確な位置照合を行っており、骨転移、脳転移などに対して定位放射線治療やIMRT(強度変調放射線治療)も行っています。左乳癌術後照射で問題となる心臓への照射を避けるため、DIBH(深吸気息止め照射)を開始しました。
緩和ケア内科
主治医を中心に、多職種連携(緩和ケア内科医、精神科医、専門/認定ナース、薬剤師、公認心理師等)の体制が構築されており、がん相談支援センターなど様々な部署とも連携し、患者さんに沿ったケアが出来る事を目標にしています。
特に悪性疾患は病気を疑ったとき、告知を受けたときから身体的・精神的なつらさをかかえることになります。病期だけでなく、ひとりひとりの状況に応じた適切なサポートが行えるよう「診断時からの緩和ケア」を提供していきたいと考えています。
精神科
放射線診断科
病理診断科
看護科
放射線技術科
当院のマンモグラフィ撮影は、女性の技師が担当しております。マンモグラフィ撮影の技師認定・施設認定を取得しておりますので、安心して精度の高い検査を受けて頂けます。また、令和4年5月より、新しく3D撮影が撮影できるマンモグラフィ装置を導入し、より小さな病巣の発見がし易くなりました。
MRI検査では、主に病巣の広がりを調べ、手術の際の的確な切除範囲を診断しており、他にもCT検査や骨シンチグラフィなど、必要に応じて、多種の検査を施行しています。何か心配事がございましたら、遠慮無くお声かけ下さい。
臨床検査科
薬剤科
薬物療法でのサポートを担当しています。薬物療法とは、がんの進行を抑えたり、症状をやわらげたりする目的で医薬品(抗がん剤など)を投与する治療です。また、治療計画(レジメン)の管理や投与量、スケジュールの管理、医薬品の調製も行っています。
当院では、がん薬物療法担当の薬剤師が外来化学療法室にて、お薬の効果や副作用について説明し、安心して治療が受けられるようにサポートしています。治療開始後も患者さんの症状を詳しく伺い、副作用の改善や、がんの進行に伴う苦痛などに対して、最適な治療法を目指して医師とともに取り組んでいます。
地域の薬剤師会とも定期的に合同勉強会を開いており、治療がスムーズになるように情報共有を行なっております。薬物療法や副作用のことなど、お薬のことで気になることがあれば、いつでもお気軽に薬剤師にご相談ください。
がん相談支援センター
がん専門相談員が、がんに関する心配事や悩み、不安など様々な疑問にお応えしています。相談は無料です。
- 誰かに話を聞いて欲しい
- 治療や副作用について知りたい
- 医療費はどのくらいかかる?
- 仕事をしながら治療はできる?
- 療養生活はどうしたらいい?
- 家族とどう接したらいい?
がん患者さんは、様々な場面でこころに強い衝撃を受け、気持ちの揺れ動きを体験し、通常の心理的反応を超えて不安が強くなることがあります。家族にも話せずに辛さが増してしまうこと、ご家族も同じように悩まれる場合もあります。
そのようなときに、患者さんだけでなくご家族に対しても、精神看護専門看護師を中心に精神的支援を行い、こころの辛さや不安を少しでも軽くし、安心して治療を受けていただき、自分らしい生活ができるように支援するします。
外来化学療法室
近年の薬の進歩により、がん治療に有効で副作用の少ない抗がん剤や、吐き気を抑える薬が開発され、外来で(通院しながら)の抗がん剤治療が可能になりました。患者さんの生活ペースに合わせた治療を行なうことができます。
新棟4階の外来化学療法室には、ベッド3床とリクライニングチェアが12台あり、隣接する面談室では、抗がん剤の注意事項やウィッグ、下着のパンフレットなどがご覧いただけます。
職員は医師が交代制で1名、専任看護師は2~3名で対応しております。また、抗がん剤の副作用に対処するための薬の処方をより適切なものにするために、薬剤師がベッドサイドでお話しを伺うこともあります。患者さんが安全かつ安心して抗がん剤治療を受けられるようにお手伝いさせて頂きたいと思います。日々の生活に対する疑問や不安などがありましたら、気軽にお声かけ下さい。
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- 2024年9月19日 国産手術支援ロボットhinotoriによるロボット支援下膵切除術 初例施行!
- 2024年8月6日 国産手術支援ロボットhinotoriによるロボット支援肝切除 初例施行!
- 日本肝胆膵外科学会高度技能専門医修練施設に認定されました
- 消化器外科で「hinotori」によるロボット支援下手術を開始しました
- 内視鏡外科技術認定医に当院の医師3名が合格しました!
- 初期臨床研修医の学術活動が相次いで受賞!
- 部長・中川医師が第10回神奈川ヘルニア研究会を主催しました!
- 神奈川県臨床外科医学会より表彰を受けました!
- 部長・中川医師が第10回ラパヘル研修会を主催します
- 3D(立体画像)で行う内視鏡外科手術を開始しました
- 日本外科学会より部長・中川医師が「研究奨励賞」の表彰を受けました。
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