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乳腺外科

部長兼乳腺センター長

米山 公康

乳腺の病気は、乳がんばかりでなく、乳腺症、乳腺線維腺腫、乳管内乳頭腫、乳腺炎など多岐にわたります。症状には、乳腺のしこり、腫れ、痛み、皮膚の発赤、乳頭分泌物、検診で異常を指摘されたことや乳がんに対する漠然とした不安などがあります。当科では最新の医療機器と医療技術を駆使して、迅速な検査と最適な治療を提供しています。

米山公康部長兼乳腺センター長

診療内容

乳腺外科医による問診、視触診の後、マンモグラフィ、超音波検査を行います。原則これらは受診当日に行い、結果も当日説明します。必要であれば後日乳腺MRI、CT検査を受けていただくこともあります。画像検査から悪性が疑われる場合には細胞診、針生検、摘出生検、マンモトームなどを施行、得られた検体により病理診断医が組織学的に確定診断を行います。これらの結果から、乳がんと診断された場合、病気の性状や進行度を考慮して治療計画を立てます。現在乳がんの根治に手術は必須と考えられておりますが、薬物療法、放射線療法など複数の治療法を組み合わせることで治癒を高めようとしております。
乳がん治療は「チーム医療」として行われ、乳腺外科だけでなく、放射線治療科、緩和ケア内科、形成外科、病理検査室、化学療法室、薬剤部、生理検査室、放射線技術科などが協力して最新の治療が安心して実施できる体制を整えております。

診療のトピック

●乳がんに対するラジオ波焼灼療法について
早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法(Radiofrequency Ablation Therapy :RFA)は、2013年に先進医療制度として承認され、全国の多数の施設が協力して開始されました(RAFAELO試験)。この試験により、通常の手術と比べても治療効果が遜色ないと認められ、2023年に保険承認されました。
当院でも2024年10月に原明日香医師が日本乳癌学会のラジオ波焼灼療法施行術者に認定され、ラジオ波焼灼療法実施承認施設となりました。

●ラジオ波焼灼療法とは
ラジオ波焼灼療法とは、専用の電極針を腫瘍に刺して通電し、針の先端周囲の温度を上げることでがん細胞を死滅させる治療法です。がん細胞は、ある一定の温度以上に熱すると死滅することが知られています。ラジオ波焼灼療法は、全身麻酔下に行いますが、切除手術と異なり、乳房に針を刺すだけで治療が終結しますので、乳房を大きく切ることなく治療を終了することが可能です。

●一連のラジオ波焼灼療法の流れ
早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法は、通常の乳房切除をする手術と同様に手術室において全身麻酔下に行います。まず、通常の手術と同様に、わきのリンパ節に対してセンチネルリンパ節生検を行い、センチネルリンパ節に病理検査でがん細胞が認められた場合には、引き続いて腋窩リンパ節郭清を行うこともあります。
次に、超音波検査機で確認しながら、ラジオ波焼灼療法用の針を腫瘍の中心部まで進めていきます。針は腫瘍の真上ではなく、やや離れた位置から刺していきます。針がきちんと腫瘍に刺さっていることを確認してから、熱を加えていきます。がん細胞が壊死するとされる70℃以上まで温度が上昇したことを確認して、針を抜きます。通常、熱を加えるのは30分以内です。手術中と手術後は、乳房の皮膚の熱傷(やけど)を防ぐために、ビニール袋に氷水を入れたもので皮膚を覆います。また、腫瘍と大胸筋、あるいは腫瘍と皮膚との距離が近い場合には熱傷を防ぐために、これらの間に5%ブドウ糖液を注入します。

●ラジオ波焼灼療法後の治療の流れ
治療後には、温存した乳房に放射線治療を行います。また、その後にラジオ波焼灼療法と放射線治療でがん細胞が死滅したかを確認するために、放射線治療終了後3ヶ月を⽬途に、①造影MRI 検査と超⾳波検査、②焼灼部およびその周辺より(吸引式)針⽣検を⽤いて検体採取を実施します。病理診断の結果等でがんの遺残がある場合には、外科的切除を実施します。

●乳がんラジオ波焼灼療法適正使用指針(日本乳癌学会)
※患者選択基準 適格基準
・針生検で組織学的に通常型の原発性乳管癌であることが証明されていること。
・腫瘍の大きさが、造影MRI検査、超音波検査を含む術前画像検査すべてにおいて長径1.5cm以下の単発限局病変であること。
・癌の皮膚浸潤や皮膚所見(Delle)が認められないこと。
・今回の乳癌に対する前治療(化学療法・ホルモン療法・放射線治療など)の既往がないこと。
・年齢が20歳以上の女性である。
・術後放射線治療が可能なこと。
・手術、全身麻酔に耐えうる臓器機能を有すること。
・術前診断にて腋窩リンパ節転移がないこと。
※適応除外基準
・妊娠中、もしくは妊娠している可能性がある症例。
・心臓ペースメーカーまたは植え込み型除細動器を留置している症例。
・局所の活動性の炎症や感染を合併している症例。
・重篤な心疾患、脳疾患を有意している症例。
・人工骨等のインプラントにより、対極板を貼付できず、RFAが適切でない症例。
・抗血小板療法、抗凝固療法等、止血困難が予想される症例。
・画像上広範囲の乳管内病変の存在や多発病変の存在が疑われる症例。
・マンモグラフィ(MMG)で広範な石灰化を認める症例。
・温存乳房内再発を含む異時性の同側乳癌症例。
・他臓器転移を認める症例。

●ラジオ波焼灼療法の副作用・合併症について
わが国で過去にラジオ波焼灼療法が行われた患者さんの報告では、重症皮膚熱傷が1人(1.9%)に認められました。この場合には、外科的治療が必要になることもあります。この他、出血(0.1%)、不整脈(0.1%未満)、気胸(0.1%)、血胸(0.1%)、腫瘍播種(0.1%)、膿瘍形成、創感染、持続する痛み、発熱、嘔気・嘔吐、乳頭の陥没などが報告されています。 また、ラジオ波焼灼療法後の部位はしこりとして残ることが多いです。

●ラジオ波焼灼療法実施についての注意点
・ラジオ波焼灼療法中に焼灼が不完全であると判断された場合には切除手術に変更となる可能性があります。
・ラジオ波焼灼療法後の針生検でがん細胞の遺残が確認された場合には、切除手術が必要となることがあります。
・ラジオ波焼灼療法後の部位は比較的大きなしこりとして残ります。

●ご自身がラジオ波焼灼療法を受けられるか知りたいと思われた患者さんへ
ご自身がラジオ波焼灼療法の適応になるのか知りたい、ラジオ波焼灼療法についてお聞きになりたい方は当院乳腺外科セカンドピニオン外来を受診してください。

乳がん検診

平塚市の乳がん検診

当院では平塚市より委託を受けて、乳がん検診を行っております。
触診・マンモグラフィ併用検診であり、対象者は平塚市在住の40歳以上の女性です。40歳代では2方向のマンモグラフィ、50歳以上では1方向のマンモグラフィを撮影します。
実施日及び人数は、毎週月・水・金曜日の午前が3名、木曜日の午後が6名です。
検診に関するお問い合わせ及びご予約は、健康課(平塚市保健センター、電話番号:0463-55-2111)へお願いします。
詳しくは、平塚市の乳がん検診のページをご覧ください。

検診を行う医師およびマンモグラフィの機器は、一般診療で乳腺外来を受診した時と変わりません。是非、当院での乳がん検診をご活用ください。

日曜乳がん検査(当院の事業)

当院の事業として、年2回(春と秋)実施しています。
子育て・介護・仕事・家事などで忙しく、平日に検診を受けに行きにくい女性の皆様が、休日に「乳がん検査」を受けられるよう、日曜日に乳がん検査、マンモグラフィー検査を受診できる環境づくりへの取り組みです。
秋の実施は、認定NPO法人 J.POSH(日本乳がんピンクリボン運動)が実施する「ジャパン・マンモグラフィーサンデー(JMSプログラム)」に当院も協力するもので、「10月第3日曜日」に検査を行います。
実施日については、病院広報誌「SMILE!」や広報ひらつかなどでお知らせし、当院のホームページからお申し込みを受け付けます。

検査機器

マンモグラフィ検査

令和4年春に、乳房3D(トモシンセシス)システムを搭載した最新のマンモグラフィ撮影装置を導入しました。
従来のマンモグラフィでは見つけにくかった、乳腺に埋もれた病変の発見がしやすくなり、比較的乳腺濃度の高い若い方にも有効です。
撮影時間は10秒程度で、従来の検査とほぼ変わりませんが、より早期に、より的確な診断が可能になりました。
また、新装置では、撮影時の痛みの低減にこだわったフォルムを採用しており、よりリラックスして検査を受けていただけます。

超音波(エコー)検査

乳房内の病変の有無、しこりの大きさなどを調べます。
人の耳では聞こえないほどの高い周波数の音(超音波)を装置から発信し、体内の臓器や組織から反射する超音波を電気信号に変えて画像化することで検査を行います。
痛みを伴うことはなく、放射線被ばくの心配もありません。

進行乳がん撲滅を目指すシンボルマーク ~平塚から全国を目指して~

 わが国では1965年頃より乳がん検診が始まり、2004年から40歳以上の女性に対するマンモグラフィー併用検診が開始されました。乳がんの啓発活動である「ピンクリボン運動」が盛んになったことで、多くの人が乳がん検診の存在を知るようになり、検診の広がりや検査の進歩に伴い、早期に発見される乳がんが多くなりました。しかし、受診率はまだまだ低く、初診時にすでに遠隔転移を認める転移性乳がん(StageⅣ)患者さんもいらっしゃいます。乳がんは発症年齢が他のがんと比べて低く、子育て中や働き盛りで忙しい世代に多いがんです。忙しさを理由に発見・治療の介入が遅れ、取り返しのつかないことにならないように、早期発見・治療を目指し、当院は進行乳がん撲滅を目指すシンボルマークを作成しました。
 クローバーは希望・誠実・愛情・幸運の象徴であり、真心と愛情によって女性を乳がんから守り、希望をもって幸せに生きてほしいという願いを表しています。それを当院のシンボルマーク(HanamizuCross)の色で描くことにより、ここ平塚から発生したことを示していて、ピンクのハートは深い愛情を、緑と青のハートは間に線を入れることで、強い信念を持っていることを表しています。また、色や形を対象にすることで、乳房の左右差を見ることが大切であることを表しています。それらが、平塚を超えて全国に広がって欲しいという願いを花水川や桜を超えて飛び立っている様子で描きました。鳩の色は平和のシンボルの白い鳩が、ピンクリボンの色にグラデーションとなることで、平和を望む人々がこの運動を広めることができる様子を表しています。

活動報告

2019年9月 進行乳がん撲滅を目指すシンボルマークHanamizu Ribbon完成
平塚市民病院広報誌SMILE!27号で発表
2020年10月 J.M.S(ジャパン・マンモグラフィー・サンデー)に参加
 子育て・介護・仕事・家事などで忙しく、平日に病院へ行けない女性の皆さんが、休日の日曜に「乳がん検査」を受けられるよう、全国の医療機関と認定NPO法人J.POSHが協力して毎年10月第3日曜日に乳がん検診マンモグラフィー検査を受診できる環境作りへの取組み
2021年6月 「日曜乳がん検査」を実施(6月27日)
2021年10月 J.M.S(ジャパン・マンモグラフィー・サンデー)に参加
「日曜乳がん検査」を実施(10月17日)
2022年6月 「日曜乳がん検査」を実施(6月5日)
2022年10月 J.M.S(ジャパン・マンモグラフィー・サンデー)に参加
「日曜乳がん検査」を実施(10月16日)
2023年6月 「日曜乳がん検査」を実施(6月25日)
2023年10月 J.M.S(ジャパン・マンモグラフィー・サンデー)に参加
「日曜乳がん検査」を実施(10月29日)
2024年6月 「日曜乳がん検査」を実施(6月23日)
2024年10月 J.M.S(ジャパン・マンモグラフィーサンデー)に参加
「日曜乳がん検査」を実施(10月27日)

 

研究について

現在はセンチネルリンパ節生検転移陽性乳癌における腋窩治療の観察研究および術前化学療法後のセンチネルリンパ節生検の妥当性に関する研究に参加しています。

施設認定

  • 日本乳癌学会認定施設
  • 日本癌治療認定医機構認定研修施設
  • インプラント実施施設(一次一期再建)
  • エキスパンダー実施施設(一次再建)

乳腺専攻医募集のご案内

 乳腺外科は手術だけでなく、病理学的細胞及び組織や画像診断、内分泌療法、化学療法などの全身薬物治療、放射線治療、緩和治療など、多岐にわたる分野です。
 当院には、乳腺疾患の診断、治療を学ぶための環境が整っており、乳腺外科では、乳腺専攻医として患者さん・医療従事者から信頼される医師を育成することを目標としています。

乳腺専門医取得まで

 当院では、乳腺外科専修医(専攻医)としての3年間で、外科専門医取得に必要な手術を中心に研修を行います。
 最初の1年間は乳腺疾患だけでなく、希望に応じて消化器、呼吸器、救急などの症例をカリキュラムに組み、幅広い診療経験を積みながら外科専門医を取得できるようにします。
 その後2年間は、主な診療対象を乳腺疾患とし、画像診断、病理診断、外科的治療、薬物治療、緩和ケアなどを系統的に研修していきます。なお、その間の半年~1年間は、国立がん研究センター東病院での研修も可能です。

取得できる資格・専門医
  • 乳腺認定医・乳腺専門医
  • 外科専門医
  • 検診マンモグラフィー読影認定医師
  • 乳腺超音波医師
  • がん治療認定医
  • オンコブラスティックサージャリー実施医師
専攻医募集についてのお問い合わせ
平塚市民病院 乳腺外科 米山 公康
ご相談連絡先 平塚市民病院専門研修委員会
  病院総務課 総務担当
  電話:0463-32-0015
  E-mail:byoin-s@city.hiratsuka.kanagawa.jp

スタッフ

部長兼乳腺センター長

米山 公康

卒業年
H3年卒
資格
日本外科学会認定外科専門医・指導医
日本乳癌学会認定乳腺認定医・乳腺専門医・乳腺指導医・評議員
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
マンモグラフィ読影精度管理中央委員会認定医
臨床研修指導医
専門分野
乳腺外科、がん化学療法、緩和ケア
略歴
1997年  東京都済生会中央病院
2007年  東京大学医科学研究所
2010年  大和市立病院
2011年  国立がん研究センター東病院
2016年  平塚市民病院

医長兼緩和ケア内科医長

原 明日香

卒業年
H23年卒
資格
日本外科学会認定外科専門医
日本乳癌学会認定乳腺認定医・乳腺専門医
乳房再建用エキスパンダー/インプラント実施医師
マンモグラフィ読影精度管理中央委員会認定医
乳がん検診超音波検査実施・判定医
専門分野
乳腺外科・緩和ケア

医師(非常勤)

亀山 友恵

専門分野
乳腺外科

外来診療担当表

 
米山 公康
(よねやま きみやす)
 
原 明日香
(はら あすか)
  
亀山 友恵
(かめやま ともえ)
    

※○印の曜日が外来診療の担当日となります。

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